私たちが毎日食べている野菜ですが、そんな野菜の種には実は種類があります。
昔から種を取り続け、世代を超えて繋がってきている種や、品種改良して新たに作られている種、そして人工的に遺伝子を操作して作られている種などです。
大きく分けて、
- 固定種子
- F1種子
- 遺伝子組み換え種子
のように分けることができます。
それぞれ説明すると、こんな感じです。
☆固定種子
育った作物から採取した種を、次の期に植えて、またそれから育った作物から種を採って・・・と、昔から繋がれている種子のことです。
親から子、子から孫へと代々同じ形質が受け継がれているので、形質(味や形)が固定されたものが育ちます。
とても美味しいのですが、形が不揃いだったり、成長速度が一定ではなかったりするので、大量出荷が難しく、スーパーなどで見かけることは、ほぼ無いかもしれません。
スーパーマーケットなどにへ大量に出荷するには向かない種子です。
その中でも、古くから受け継がれている種を「在来種」、F1種(品種改良)の種を何年も受け継いで形質を固定した種を「固定種」と分けたりもします。
例えば鹿児島だと「桜島だいこん」や「横川だいこん」などが良く知られているんじゃないでしょうか。
自然食品店など、オーガニックな食材をメインに扱っているショップでも、めったに見かけることがないので、見かけたらぜひご賞味ください。
☆F1種子
First Filial Generationのことで、F1種と略されます。日本語では、一代雑種やハイブリッド種子とも呼ばれます。
同じ種類の野菜の中で、異なる特性を持つ親を掛け合わすことで、優性遺伝(ゆうせいいでん)というものが起こり、それぞれの親の特徴を子どもが受け継ぐことで、味を良くしたり病気に強くしたりできます。
ただ、メンデルの法則というものが起きることで、その次に生まれた子(孫)世代の一部が親とは異なる形質になるので、もし農家さんが種を採って植えたとしても、どんな形や味のものができるか分かんないため、販売用には使えず、毎年新たに種を買う必要があります。
慣行栽培の野菜をはじめ、有機(オーガニック)の野菜など、普段私たちが買っている野菜は、このF1種子から育てられているものがほとんどです。
人間で言うと、ハーフのような感じで、同じ種類の作物同士を掛け合わせているので、自然界でも自然と発生しているのですが、F1種にも問題があると言われていて、それはF1種子の作り方によるものではないかと考えられています。
例えば、F1種子を育てるには、二つの種類の作物を元に、それぞれの雄しべと雌しべを受粉させるのですが、以前はそれを手作業でおこなっていました。
そんな中、雄性不稔という雄しべの生殖機能が失われてしまった突然変異が発見され、それを元にF1種子が育てられるようになったんです。
雄しべの機能がないので、ただ2つの作物を並べて育てるだけで自然と受粉し、効率良く大量に育てることができます。
普通に交配するのではなく、雄しべの異常がある、不自然な状態で交配が行われるようになったんですね。
このようにして育てられたF1種子から生まれた野菜を人が食べた時、どのような影響があるのかは分からないところではありますが、できるだけ自然に育てられた野菜を食べたいところです。
☆遺伝子組み換え種子
特定の遺伝子を作物に組み込んで、改良した農産物のことです。
例えば、除草剤に耐性をもつバクテリアの遺伝子をトウモロコシなどの作物に組み込むことで、除草剤をかけても枯れない作物を作ったり、寒い北極の海にいるヒラメの遺伝子をトマトに組み込むことで、寒さに強いトマトを作ったりできるという技術です。
本当はあり得ない、生物の種の壁を乗り越えて、新しいものを作れる技術で、いろいろと問題があると言われています。
スーパーなどでは見ることはないですが、実は知らないところで、日本にもたくさんの遺伝子組み換え作物が輸入されていて、食品添加物や家畜の飼料として使用されています。
今年から、ゲノム編集という新たな技術で遺伝子を組み換えられた作物も出てきましたので、これからの動向が気になるところです。