聞いたことありますか?海の農薬と呼ばれているもの

海の農薬と呼ばれているもの

海の農薬」って聞いたことはありますか?

これは何かというと、海苔を育てる時に使う酸処理剤のことを言っている言葉です。

「海苔」は、満潮時は海の中、干潮時は水から出て空気と太陽にさらされるという、そんな環境で育てられるのですが、外食の回転寿司や、コンビニおにぎりの消費量がとても増えてきたため、干潮時にも海の中に浸かったままで、風も太陽も浴びない効率の良い養殖の方法がとられるようになってきたそうです。

ただ、これにより生産性は上がるのですが、常に水の中にいて、風や太陽によって病原菌などが殺菌されることが無なくなったことで、病気にかかりやすくなるというデメリットも。

そこで、殺菌のために行うのが「酸処理

海中に沈んでいる養殖網を引き揚げ、クエン酸などの酸処理剤に浸して、また海に戻します。

これをすることで何が良くないかというと、海苔の味自体も落ちてしまうというのもあるのですが、海の環境も汚染してしまうという点が。

酸性の薬剤を大量に使うことで、海のpHも変化し、魚介類の生態系にも影響が出てしまう可能性もあるんです。

酸処理剤が、海の農薬と言われるのはこのためです。

また、酸処理剤も規定されたモノではなく、より有害な塩酸などを使ったり、処理が終わった後の酸処理剤を海に投棄してしまったりしているところがあるとの噂も。

そんな中、鶴の飛来地としても知られる、鹿児島県出水では、地域として「酸処理」をおこなわない昔ながらの養殖の方法を続けていて、水域全体の環境を守っています。

酸処理しないので生産性は悪くはなりますが、海の養分をたっぷり吸収し、太陽の光をしっかりと浴びて育った「海苔」、これからもぜひ残っていってほしいなと思っています。