食品添加物などに興味を持ち始め、いろいろと調べ始めると「遺伝子組み換え作物」についても気になってくるんじゃないかと思います。でも「遺伝子」ということばが使われていることで、なんか難しそうな感じがしたり、通常の作物の交配と何が違うのか良く分からないといった方が多いのではないでしょうか。
そんな遺伝子組み換え作物の問題点はどんなところにあるのでしょうか?この問題点について、3つのポイントに分けて書いてみました。
大きく分けて、遺伝子組み換えの問題について考えるポイントは、このようなものがあるんじゃないかと思っています。
- 安全性
- 倫理観
- 環境汚染
安全性について
まずは、一番気になるであろう、一つ目の「安全性」についてです。
遺伝子組み換えの作物は、その作物のタンパク質を変えることで、新しい特徴を与えることができるのですが、その影響でアレルギーの原因になる可能性があると言われています。
また、Bt菌(バチルス チューリンゲンシス)という、殺虫作用のある微生物の遺伝子を組み込んだBt作物というものもあり、この作物を食べた害虫は死んでしまうのですが、その作物を人が食べたときにどうなるのか。
安全だったり、安全じゃなかったりと、様々な研究結果があるのですが、害虫が食べると死んでしまったり、除草剤をかけても枯れないような植物を食べ続けたときの影響がどれだけあるのかは、まだ分からないというのが正直なところです。
植物から取り出した食品添加物でも、安全と言われて長年使われ続けていても、実は発ガン性があり使用禁止になったということもあったり。
完全に安全と証明するのは、かなり難しいことなんです。
「危ないところには近寄るな」という、予防原則という考え方もありますので、完全に安全が証明されていないものに関して、できるだけ避けるのがいいんじゃないかと思っています。
倫理観
2つ目は「倫理観」について。
通常、作物の品種改良をする時は、例えば同じ種類の野菜同士をかけ合わせたり、近い種類の野菜同士をかけ合わせたりして、新しい品種を作っていくのですが、遺伝子組み換えはこれとは全然違います。
何が一番違うかというと、それは「種の壁」を超えたかけ合わせができるということ。
どういうことかと言うと、自然の中ではあり得ない、野菜と動物をかけ合わせたりして、新しい品種の野菜などを作ることができるんです。
一番最初の遺伝子組み換え作物はトマトらしいのですが、これは、トマトに北極海に住むヒラメの遺伝子を組み込んでいて、これによって、寒さに強いトマトを作り出すことができるんだそうです。
最近、よく作られているのは、除草剤に負けないバクテリアの遺伝子を組み込んだ作物。
除草剤をかけても枯れない作物なので、雑草取りが簡単になり、生産性が上がるというところがメリットになっています。
ビジネス的な面でいうと、除草剤耐性のある作物の種と、除草剤をセットで売ることで、企業は大きな利益を出しています。
また、作物だけでなく、遺伝子組み換えのサーモンが出てきていたりも。このサーモンは、アトランティック・サーモンの中に、大きく成長するキングサーモンの遺伝子と、季節を問わず1年中成長するゲンゲと魚の遺伝子とが組み込まれていることで、通常の半分の期間で成長することができるそうなんです。
生物にも遺伝子組み換えの波が押し寄せてきているんですね。
遺伝子組み換えの技術は安全性の懸念もありますが、自然の中では絶対に起きないことをしてしまっているので、そもそもそんなことをやり続けていいのか・・・
きっと、やろうと思えば、植物の遺伝子と人間の遺伝子を混ぜることもできるのではないでしょうか。
個人的には、このような自然界では絶対に起きない「種の壁」を超えてしまうことをやり続けるのは、倫理的に良くないんじゃないかなと思っています。
環境汚染について
3つ目は「環境汚染」について。
最近よく作られている、除草剤に耐性のある作物は、除草剤をかけても枯れない作物なので、生産性が上がるというところがメリットになっているのですが、これを作り続けることで環境に悪いことも。
それは、除草剤で今まで枯れていた雑草が耐性を持って強くなってしまい、今まで通りの散布量だと枯れなくなってしまうこと。
そのため、年々除草剤の散布量を増やしたりしているそうです。
イタチごっこですね・・・
また、これはかなり大きな問題だと思っているのですが、遺伝子組み換え作物が増えてくると、有機農業が出来なくなってしまう可能性もあるんです。
有機農業では、遺伝子組み換えをしていない作物を無農薬で育てるのですが、もし近くで育てられている遺伝子組み換え作物の種が、風で飛んできたとしたら・・・
有機農業をしているエリアの作物と自然と交配してしまい、そのエリアで、もしかしたら遺伝子組み換え作物の遺伝子をもった作物が育ってしまう可能性もあります。
こういったことが色んなところで起こると、どれが遺伝子組み換えなのか分からなってしまいます。
もちろん、通常の慣行栽培にも影響が出てきます。
遺伝子組み換えの種子で、生産性がアップするということがメリットと言われて生産量が増えてきていたのですが、実際は生産効率が上がっていないというのも分かってきているよう。
これから更に遺伝子組み換えが増えていくのか、それとも減っていくのかは分からないですが、人の健康への影響だけでなく、色んな面において影響があるものということを、ぜひ知っていただければなと思います。